初マラソンのペース配分|5時間・6時間・7時間完走の1kmペースと後半失速を防ぐ方法

健康

初マラソンのペース配分|5時間・6時間・7時間完走の1kmペースと後半失速を防ぐ方法

初めてフルマラソンに挑戦するとき、多くの方が迷うのがペース配分です。

「何分/kmで走れば完走できるのか」「最初はどのくらい抑えるべきか」「途中で歩いたら目標時間に間に合わないのではないか」と不安になると思います。

初マラソンで大切なのは、スタート直後に速く走ることではありません。大会の制限時間を確認し、給水やトイレの時間も含めて、自分が最後まで維持できる速さで進むことです。

僕は健康運動指導士として、福岡マラソン完走チャレンジなどでランニング指導に携わってきました。自身のフルマラソン自己ベストは3時間27分ですが、初心者の完走指導で重視しているのはタイムよりも「後半まで動ける余裕を前半に残すこと」です。

この記事では、5時間から7時間までの目標タイム別ペース表、給水を含めた現実的な考え方、後半の失速を防ぐための具体的な走り方を解説します。

結論:初マラソンは前半を抑えた人ほど後半に粘れる

初マラソンでは、スタート直後の5kmを抑えることが最重要です。

スタート直後は身体が軽く、周囲のランナーにも引っ張られます。しかし、ここで「予定より少し速い」を積み重ねると、20km以降に脚や呼吸へ負担が出やすくなります。

目標ペースを守るだけでなく、最初の5kmは目標より少しゆっくり入るくらいで構いません。速さは後から上げられますが、序盤で使い切った体力は後半に取り戻せません。

フルマラソンの目標タイム別・1kmペース一覧

次の表は、42.195kmを止まらずに進んだ場合の平均ペースです。

目標タイム平均ペースの目安ハーフ通過の目安
5時間約7分07秒/km約2時間30分
5時間30分約7分49秒/km約2時間45分
6時間約8分32秒/km約3時間00分
6時間30分約9分15秒/km約3時間15分
7時間約9分57秒/km約3時間30分

ただし、この数字だけで本番のペースを決めるのは危険です。

大会当日は、スタート地点を通過するまでの時間、混雑、給水、トイレ、写真撮影、信号待ちの有無などが加わります。大会によっては、ネットタイムではなく号砲からのグロスタイムで関門が管理される場合もあります。

まずは大会公式サイトで、全体の制限時間と途中関門の場所・閉鎖時刻を確認してください。

給水・トイレの時間を入れると、実際は少し速く進む必要がある

例えば、6時間完走の平均ペースは約8分32秒/kmです。

しかし、給水やトイレなどで合計10分止まるなら、走っている時間は350分になります。その場合、走行中の平均は約8分18秒/kmが目安です。

目標タイム止まる時間を含まない平均ペース給水などで合計10分使う場合の走行ペース目安
5時間約7分07秒/km約6分52秒/km
5時間30分約7分49秒/km約7分35秒/km
6時間約8分32秒/km約8分18秒/km
6時間30分約9分15秒/km約9分00秒/km
7時間約9分57秒/km約9分43秒/km

ここで注意したいのは、「止まる時間があるから、スタートから速く走ろう」と考えないことです。

初心者の場合、数秒を削るために給水所を走り抜けるより、歩きながら落ち着いて水分を取り、次の区間を同じリズムで進む方が結果的に安定しやすくなります。

止まる時間はできるだけ短くしつつ、給水、補給、トイレを我慢しすぎない。このバランスが重要です。

初マラソンのペース配分は4区間に分けて考える

0〜5km:遅すぎるくらいでよい

最初の5kmは、目標平均ペースより5〜15秒ほど遅くても問題ありません。

特に大規模大会では、スタート直後は混雑して自分のペースで走れないこともあります。無理に人を抜こうとせず、身体が温まり、呼吸が落ち着くまで待ちます。

5時間30分を目標にする場合なら、最初の5kmは7分55秒〜8分05秒/km前後で入るイメージです。これは厳密な指示ではなく、前半を飛ばしすぎないための目安です。

時計を何度も見て焦るより、「会話ができるか」「肩に力が入っていないか」「呼吸が乱れていないか」を確認してください。

5〜20km:楽に進めるリズムを固定する

身体が温まり、走りやすく感じる区間です。ここで調子が良いと、予定より速く走りたくなります。

しかし、初マラソンではこの区間でペースを上げすぎないことが大切です。目標は「速く進むこと」ではなく、「20kmを過ぎても同じリズムで走れること」です。

給水所では、周囲を確認してから端へ寄ります。急に横切ると接触の危険があるためです。飲むときは短く歩いても構いません。飲み終えたら、慌ててペースを上げず、ゆっくり走りへ戻します。

20〜30km:ペースを守る区間

ハーフを過ぎると、脚の張りや疲労を感じ始める方が増えます。

この区間で大切なのは、余裕があるからといって大きくペースアップしないことです。マラソンでは、後半のために前半で体力を残す必要があります。

次の給水所まで、次の5kmまでというように、区間を小さく分けて考えましょう。ペースが数秒落ちたとしても、焦って取り戻す必要はありません。

30km以降:走りと歩きを使い分けて前へ進む

30km以降は、脚が重くなったり、同じペースを維持することが難しくなったりすることがあります。

ここで失速したと感じても、失敗ではありません。フルマラソンでは、疲労が出ることを前提に準備します。

フォームが崩れるほど苦しい場合は、給水所まで早歩きする、1〜2分だけ歩いて呼吸を整えるなど、計画的に歩きを使います。

「歩いたら終わり」ではありません。止まって長く休むより、歩いてでも前へ進み、再び走れる状態へ戻す方が完走に近づくことがあります。

ウォーク&ランは完走のための有効な選択肢

連続して走り続けることだけが、マラソンの走り方ではありません。

初心者や長時間走った経験が少ない方は、最初から歩きを組み合わせる「ウォーク&ラン」を使うと、呼吸や脚への負担を抑えながら進みやすくなります。

例えば、次のような方法があります。

  • 9分走る+1分歩く
  • 8分走る+2分歩く
  • 5分走る+1分歩く

どの方法が合うかは、現在の走力、目標時間、暑さ、コースの起伏によって変わります。

ポイントは、苦しくなってから歩くのではなく、余裕があるうちから決めた間隔で歩くことです。早めに歩きを入れた方が、呼吸と脚の状態を整えやすくなります。

ウォーク&ランを使う場合も、給水、補給、トイレを含めた実際のペースを、長い練習の中で確認しておきましょう。

後半に失速しやすい人の4つの共通点

1.スタートから予定より速い

最も多い原因です。

最初の5〜10kmで「少し速いけれど楽だから大丈夫」と感じても、マラソンではその負担が後半に積み重なります。

走り始めに余裕があるのは自然なことです。その余裕をペースアップに使わず、後半のために残してください。

2.給水を飛ばす、または一度に飲みすぎる

給水を飛ばし続けると、暑さや発汗の影響を受けやすくなります。一方で、喉が渇いたからと一度に大量に飲むと、胃が重くなることもあります。

大会での給水方法は、練習で試しておくことが大切です。水分や補給食の必要量には個人差があるため、自分に合う取り方を確認してください。

3.歩くことを失敗だと考える

苦しくなっても走り続け、完全に脚が動かなくなってから長く休む。この流れは、結果的に大きな失速につながりやすくなります。

給水所や上り坂で短く歩き、呼吸と姿勢を整えて再開する方が、後半に安定する場合があります。

4.30km以降に取り戻そうとする

ペースが落ちたときに、急にスピードを上げて取り戻そうとすると、さらに消耗することがあります。

30km以降は、1kmごとの数字よりも「次の給水所まで進む」「次の5分を動き続ける」といった小さな目標へ切り替えましょう。

練習で確認しておきたい3つのこと

1.会話ができるペース

初マラソンの準備では、多くの練習を会話ができる程度の楽な強度で行います。

息が上がり、短い言葉しか話せない強度で毎回走る必要はありません。速さよりも、楽なペースで動く時間を少しずつ延ばすことを優先します。

2.長い練習での実際の平均ペース

10kmを速く走れたからといって、そのペースで42.195kmを走れるとは限りません。

90分、120分、150分など、長く動く練習の中で、給水や歩きを含めた平均ペースを確認します。長い練習で安定して続けられる速さが、本番の現実的な判断材料になります。

3.本番で使う補給と装備

シューズ、靴下、ウェア、ポーチ、補給食、飲み物は、長い練習で試します。

大会当日に新しい物を使うと、靴ずれ、胃の不快感、ポーチの揺れなど、想定外の問題が起こることがあります。

暑い日のペースは必ず落とす

秋のマラソンを目指すと、長い練習が夏と重なることがあります。

暑い環境では、普段と同じペースでも身体への負担が大きくなります。気温だけでなく湿度や暑さ指数も確認し、早朝や日没後など比較的涼しい時間帯を選びましょう。

暑い日は、ペースを落とす、歩きを増やす、時間を短くする、屋内運動へ変えるといった調整が必要です。

頭痛、吐き気、めまい、反応の鈍さ、異常な発汗、力が入らない感覚がある場合は、運動を中止して涼しい場所へ移動してください。

無理に走らず、相談したい症状

次のような症状がある場合は、完走や練習の予定にこだわらないでください。

  • 胸の痛みや圧迫感
  • めまい、意識が遠のく感覚
  • 普段と異なる強い息苦しさ
  • 安静にしていても長く続く動悸
  • 歩いても痛い、腫れがある、痛みで動き方が変わる
  • 発熱や強い体調不良

持病がある方、治療中の方、医師から運動について指示を受けている方は、その指示を優先してください。

初マラソンのペース配分まとめ

  1. まず大会の制限時間と途中関門を確認する
  2. 目標タイムから平均ペースを把握する
  3. 給水やトイレの時間も考慮する
  4. 最初の5kmは目標より少し抑える
  5. 20kmまではペースアップせず、同じリズムを守る
  6. 30km以降は短い歩きも使いながら前へ進む
  7. 本番のペースは、長い練習で確認する

初マラソンでは、前半の数分を稼ぐことより、後半まで動ける余裕を残すことが大切です。

速く走れなくても、途中で歩いても構いません。自分の体力に合うリズムで、最後まで進み続けることを目標にしましょう。

ペースの前に、12週間の練習全体を組みたい方へ

初マラソンの完走には、ペース配分だけでなく、週ごとの練習量、長く動く日の組み方、筋力トレーニング、休養の取り方も重要です。

初マラソン完走のための練習方法|初心者が12週間で準備する7つのポイントでは、全体の準備方法を解説しています。

12週間の練習内容も決めたい方へ

「自分の目標ペースは分かったけれど、毎週どのくらい練習すればよいか決められない」という方に向けて、週3回を基本にした初マラソン完走用の12週間プログラムをnoteにまとめています。

週ごとの練習時間、ウォーク&ランの使い方、疲労や痛みがある場合の調整、補給・大会前の確認表まで、実践しやすい形で紹介しています。

初マラソン完走を目指す12週間練習プログラムをnoteで読む

この記事を書いた人

健康運動指導士 中村優介

福岡マラソン完走チャレンジ講師。フルマラソン自己ベスト3時間27分。健康教室やランニング教室、競技選手のフィジカル指導などに携わっています。「疲れず、老けず、動ける身体」をテーマに、科学的根拠と10年の指導経験から発信しています。

参考資料

コメント

タイトルとURLをコピーしました