人工甘味料は本当に安全?──科学が示すメリット・リスク・上手な付き合い方
「カロリーゼロ」「血糖値に影響しない」といったイメージで人気の人工甘味料。 しかし近年、科学的な研究からは「安全とは言い切れない側面」も少しずつ明らかになってきています。 ここでは、WHO・FDA・主要論文などの最新知見をもとに、メリットとリスクを整理しながら、健康運動指導士の立場から「どう付き合うのが正解か」を解説します。
人工甘味料の基本
人工甘味料とは、砂糖の代わりに少量で強い甘味を出せる化合物のこと。 代表的なものには次のような種類があります。
- アスパルテーム
- アセスルファムK
- スクラロース
- ネオテーム
- エリスリトール(糖アルコール)
「血糖値を上げにくい」「虫歯になりにくい」といった利点がある一方で、長期摂取による代謝への影響が注目されています。
科学が示すメリット
- 摂取カロリーを減らせる:砂糖を置き換えることでエネルギーを抑制。減量初期のサポートに有効。
- 血糖上昇を抑える:糖質を含まないため、摂取直後の血糖反応が小さい。
- 虫歯リスクが低い:砂糖のように発酵して酸を出さないため、歯を溶かしにくい。
ただし、これらの「短期的メリット」が長期的な健康維持に直結するとは限らないというのが近年の見解です。
リスク・懸念されている影響
① 心血管疾患リスク
フランスの大規模研究(BMJ 2022)では、人工甘味料の摂取量が多いほど心血管疾患リスクが高まる傾向が報告されました。 ただし、観察研究のため因果関係は未確定です。
② 腸内環境への影響
人工甘味料が腸内細菌のバランスを崩し、耐糖能(血糖処理能力)を悪化させる可能性が指摘されています。 腸内フローラの変化は、肥満や糖尿病のリスクにもつながる可能性があります。
③ がんとの関連
WHOの国際がん研究機関(IARC)は、アスパルテームを「発がん性の可能性あり(グループ2B)」に分類しました。 ただし、通常の摂取量で問題があるとはされておらず、1日の摂取上限(ADI)を守れば安全とされています。
④ エリスリトールと血栓
2023年の研究では、血中エリスリトール濃度が高い人で血栓形成や心疾患リスクが高まる傾向が報告されています。 ただし摂取量・体質によって差があり、日常的な少量使用では問題ないと考えられます。
現時点での国際的な見解
- FDA(米国):指定の摂取量内なら安全と認定。
- WHO(2023):長期の体重管理目的では推奨しないと勧告。
- IARC:アスパルテームをグループ2B(発がん性の可能性)に分類。
つまり「今すぐ避けるべき危険物質」ではないものの、日常的に摂りすぎない慎重さが必要という立場が主流です。
健康運動指導士がすすめる“賢い付き合い方”
- 目的を明確に:減量初期や間食対策など、期間を決めて活用。
- 量を守る:体重1kgあたり40mg(アスパルテームの場合)が上限の目安。
- 飲料への過依存を避ける:「ゼロカロリー飲料の常飲」は味覚の甘味閾値を上げやすい。
- 心疾患リスクが高い人は控えめに:糖アルコール類の摂取を減らす。
- 子ども・妊娠中は特に注意:長期影響が不明なためできるだけ自然の甘味へ。
まとめ
人工甘味料は「うまく使えば便利」ですが、「依存すれば逆効果」にもなり得ます。 日常的に摂るなら、量と目的をコントロールしながら、最終的には“甘味に頼らない食習慣”へ移行するのが理想です。
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▶ おにマス∞ | 健康運動指導士 中村優介(YouTubeやってます)
執筆:健康運動指導士 中村優介
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