ランニングで扁桃体は小さくなる?感情コントロールとメンタル安定の科学
「ランニングは心と体にいい」とよく言われますが、その理由のひとつに脳の扁桃体(amygdala)の変化があります。今回は、ランニングが扁桃体にどのような影響を与えるのか、科学的根拠をもとに解説します。
扁桃体とは?
扁桃体は脳の側頭葉奥にある、小さなアーモンド形の構造です。主に次のような働きを持ちます。
- 恐怖・不安・ストレス反応の制御
- 危険を察知して回避行動を促す
- 感情記憶の形成
扁桃体が過剰に反応したり肥大すると、不安障害やうつ病のリスクが高まることが分かっています。
ランニングが扁桃体に与える影響
1. 機能的変化(反応性の低下)
fMRI(機能的MRI)を使った研究では、中〜高強度の有酸素運動を数週間〜数ヶ月続けることで、扁桃体の反応性が低下することが確認されています。特に前頭前野との連携が強化され、感情のコントロールがしやすくなります。
2. 構造的変化(体積の変化)
形態MRIの研究によると、持久系トレーニングを長期的に行っている人は、非運動群と比べて扁桃体体積がやや小さい傾向があります。これは「過剰に肥大した扁桃体が正常化する」というイメージで、健康的な情動バランスを保つ助けになります。
3. ストレスホルモンとの関係
ランニングによってコルチゾール(ストレスホルモン)が安定し、扁桃体への過剰な刺激が減少します。結果として、日常のストレスに対する過敏な反応が和らぎます。
効果を得るための運動量の目安
- 中〜高強度ランニングを週3〜5回
- 1回あたり30〜60分
- 無理のない範囲で継続(オーバートレーニングは逆効果)
まとめ
ランニングは、扁桃体の活動を安定化し、場合によっては体積を小さくする方向に変化させる可能性があります。これにより、不安やストレスへの過剰反応が減り、感情コントロールがしやすくなるのです。
ポイントは「継続」と「適度な強度」。中〜高強度のランニングを週3〜5回続けることで、脳とメンタルにポジティブな変化をもたらします。
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