マラソン前の少量カフェイン摂取はタイムを縮める?健康運動指導士が解説
フルマラソンを走る前に「カフェインを摂ると速く走れる」と聞いたことはありませんか?実は、科学的にも一定の効果が報告されています。ただし、摂りすぎると胃腸トラブルや不眠の原因になることも。本記事では、安全にパフォーマンスを高める“少量カフェイン戦略”を、健康運動指導士の立場から解説します。
カフェインの効果:少量でも“主観的なきつさ”を軽減
カフェインには、中枢神経を刺激して疲労感を軽減し、集中力を高める作用があります。研究では、少量(1〜2mg/kg)でも主観的な疲労感が下がり、走り続けやすくなることが確認されています。
たとえば体重85kgのランナーなら、カフェイン約80〜170mgが「少量ゾーン」に該当します。これはコーヒー1〜2杯分、またはカフェイン入りジェル1〜2個程度です。
どのくらいタイムが変わる?
カフェイン摂取によるタイム改善は、小さいながらも再現性があります。複数の研究で、持久走タイムが平均2〜4%改善したという報告があり、少量摂取でも0.5〜2%の改善が期待できます。
- 0.5%短縮:3時間27分 → 約−1分
- 1.0%短縮:3時間27分 → 約−2分
- 2.0%短縮:3時間27分 → 約−4分
もちろん個人差はありますが、“1〜4分の短縮”は現実的に狙える範囲です。
おすすめの摂取タイミングと量
科学的根拠に基づくおすすめは以下の通りです。
- スタート60分前:カフェイン80〜100mg(ジェル1本またはコーヒー1杯)
- 30km前後:カフェイン25〜50mg(ジェル半分〜1本)
合計150mg前後で十分効果が期待でき、副作用リスクも最小限です。空腹で摂ると胃が荒れる可能性があるため、スタート3〜4時間前に炭水化物+水分を摂っておくのがポイントです。
おすすめのカフェイン入りジェル・サプリ
- Maurten GEL 100 CAF 100(100mg/胃に優しいハイドロゲルタイプ)
- SiS GO Energy + Caffeine(75mg/ベリー味など)
- GU ROCTANE(35〜70mg/30km前後での“追いカフェイン”に◎)
- Mag-on カフェイン入り(25mg/初めての人におすすめ)
※メイタンCCC(200mg)はやや多め。使用する場合は“半分だけ”などの調整を。
副作用と注意点
- 胃が弱い人はコーヒーよりもジェルやガムがおすすめ。
- 空腹で摂らない。胃腸トラブル予防のために必ず軽食と水を。
- 利尿作用は過大視されがち。マラソン中は問題になりにくい。
- 前夜は摂らず、当日午前レースでのみ活用。
- 自身のカフェイン耐性も考慮して摂取しましょう。
- 摂取量には十分に気を付けること。
まとめ:カフェインは“速く走る”ための合法ドーピング
マラソン前の少量カフェイン摂取は、科学的にも集中力と走行効率をわずかに高めることが確認されています。副作用を避けつつ効果を得るには、「60分前に100mg+30kmで50mg前後」が最も安全で現実的です。
本番前には必ずロング走で試して、自分の体調・胃腸反応を確認しておきましょう。
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