メラトニンサプリは摂りすぎると悪影響がある？科学的エビデンスから徹底解説
メラトニンは「睡眠ホルモン」として知られ、体内時計の調整や睡眠導入の補助に役立つ物質です。市販のサプリメントとして手軽に入手できますが、「摂りすぎるとどうなるのか？」という疑問を持つ方も多いでしょう。本記事では、科学的エビデンスをもとに、メラトニンサプリの摂取量と副作用について詳しく解説します。
1. メラトニンとは？
メラトニンは脳の松果体で合成されるホルモンで、暗くなると分泌量が増え、眠気を促します。主な働きは以下の通りです。
- 睡眠リズムの調整
- 時差ボケの軽減
- 抗酸化作用による細胞保護
- 免疫機能の調整
体内での分泌は年齢とともに減少し、高齢者や不規則な生活を送る人では不足する場合があります。
2. サプリメントとしてのメラトニンの利用目的
メラトニンのサプリは主に以下の目的で利用されています。
- 不眠症の改善
- 時差ボケの解消
- 夜勤・交代制勤務の睡眠調整
- 加齢による睡眠の質低下対策
特に海外ではOTC（一般用医薬品）として広く販売され、日本でも個人輸入や一部サプリで入手可能です。
3. 摂りすぎによる悪影響とは？
メラトニンは比較的安全性が高いとされますが、過剰摂取は以下のような副作用や健康リスクを引き起こす可能性があります。
3-1. 日中の眠気・集中力低下
高用量のメラトニンを摂取すると、翌日まで作用が残り、日中の眠気や注意力低下を引き起こすことがあります。
参考文献： Ferracioli-Oda E, et al. Meta-analysis: melatonin for the treatment of primary sleep disorders. PLoS One. 2013.
3-2. ホルモンバランスへの影響
メラトニンは生殖ホルモンにも影響を与えるため、長期間の過剰摂取は性ホルモン分泌を抑制し、生理周期の乱れや男性の精子形成への影響が報告されています。
3-3. うつ症状・気分変動
メラトニンの過剰は脳内セロトニンやドーパミンのバランスに影響を与え、一部の人で気分の落ち込みや抑うつ傾向が悪化する可能性があります。
3-4. 血圧・血糖への影響
高用量のメラトニンは血圧を下げる作用があり、降圧薬との併用で低血圧症状（立ちくらみ、めまい）が起こる可能性があります。また糖代謝にも影響するため、糖尿病患者は注意が必要です。
3-5. vivid dreams（鮮明な夢）や悪夢の増加
メラトニンはレム睡眠を増加させる作用があり、その結果、夢が鮮明になったり悪夢が増えるケースがあります。
4. 適切な摂取量の目安
研究によると、メラトニンの効果は0.5〜5mg程度で十分であり、それ以上摂取しても効果が頭打ちになることが多いとされています。
アメリカ睡眠医学会（AASM）は、時差ボケには0.5〜3mg、不眠症には1〜5mg程度を推奨しています。
5. 摂りすぎを避けるためのポイント
- 最初は低用量から試す（0.5〜1mg）
- 就寝30〜60分前に服用する
- 長期連続使用は避け、必要時のみ使用
- 医師や薬剤師に相談しながら調整
6. メラトニン以外の睡眠改善アプローチ
サプリに頼らず睡眠の質を高めるためには、以下の習慣が有効です。
- 毎日同じ時間に寝起きする
- 寝る前1時間はスマホ・PCを控える
- 朝日を浴びて体内時計をリセット
- 軽い運動やストレッチを取り入れる
- 寝室環境を整える（暗さ・静けさ・温度）
7. まとめ
メラトニンサプリは睡眠改善や時差ボケ軽減に役立つ一方、摂りすぎは日中の眠気やホルモンバランスへの影響などの副作用を招く可能性があります。安全な摂取のためには低用量から始め、必要に応じて調整することが重要です。また、生活習慣の改善と併用することで、より健康的な睡眠を手に入れることができます。
参考文献
1. Ferracioli-Oda E, et al. Meta-analysis: melatonin for the treatment of primary sleep disorders. PLoS One. 2013.
2. American Academy of Sleep Medicine. Clinical Practice Guideline for the Pharmacologic Treatment of Chronic Insomnia in Adults. 2017.
3. Andersen LP, et al. The safety of melatonin in humans. Clin Drug Investig. 2016.
コメント