マラソンにおける体のケアとケガ予防 〜トレーニングと回復のバランス〜
1. マラソンにおけるケアの重要性
マラソンは長時間にわたり全身を酷使するスポーツであり、筋肉・関節・腱に大きな負担がかかります。適切なケアを行わないと疲労が蓄積し、パフォーマンス低下や慢性的なケガにつながります。走るだけでは強くならず、「回復の質」が成長を左右します。
2. よくあるケガと原因
・ランナー膝(腸脛靭帯炎)膝外側の摩擦炎症。オーバーユースとフォーム不良が主因。
・シンスプリント(脛骨過労性骨膜炎):すね内側の炎症。急な距離増加が原因。
・足底筋膜炎:足裏アーチの炎症。硬い路面やシューズの摩耗も関係。
・アキレス腱炎:ふくらはぎの疲労蓄積による腱炎。ストレッチ不足も影響。
・腰痛・股関節痛:体幹の弱さ、骨盤の歪み、姿勢不良など。
3. ケガを防ぐためのトレーニング理論
① 体幹安定トレーニング(姿勢・フォーム保持)
② 股関節・臀筋の強化(推進力と衝撃吸収)
③ ハムストリングスとふくらはぎの柔軟性
④ 睡眠・栄養・回復のサイクル
4. トレーニングとケアの関係
トレーニングによって筋肉は微細な損傷を受け、回復過程でより強くなります。この過程をサポートするのがケアです。ケアを怠ると、筋肉が硬くなり可動域が狭くなってフォームが乱れ、結果的にケガにつながります。「攻めのトレーニング」と「守りのケア」を交互に設計することが理想です。
5. 効果的なセルフケア方法
・ストレッチ:運動前は動的ストレッチ、運動後は静的ストレッチを行う。
・睡眠・栄養:タンパク質、ビタミンC、マグネシウムを意識して摂取。
・入浴・冷却・温熱:疲労の種類に応じて温冷を使い分ける。
6. ケガ予防の黄金バランス
「走る:鍛える:休む=5:3:2」の比率を意識し、運動・休養・栄養のバランスを保つことが大切です。痛みは敵ではなく“調整のサイン”として捉え、無理をせず計画的なトレーニングを継続しましょう。
福岡マラソン ペースチャート
目標 タイム | 平均 ペース | 5km | 10km | ハーフ | 30km | 40km | ゴール | コメント |
サブ3.5 | 4:58/km | 0:24 | 0:49 | 1:45 | 2:20 | 3:12 | 3:29 | 安定走・後半勝負 |
サブ4 | 5:40/km | 0:28 | 0:56 | 2:00 | 2:50 | 3:46 | 3:59 | 前半で貯金2〜3分 |
サブ4.5 | 6:23/km | 0:31 | 1:03 | 2:14 | 3:12 | 4:15 | 4:29 | 後半の粘りが鍵 |
サブ5 | 7:06/km | 0:35 | 1:11 | 2:29 | 3:33 | 4:44 | 4:59 | 完走安定ペース |
サブ5.5 | 7:49/km | 0:39 | 1:18 | 2:45 | 3:54 | 5:15 | 5:29 | 少し余裕あり |
サブ6 | 8:32/km | 0:42 | 1:25 | 3:00 | 4:15 | 5:44 | 5:59 | 安全圏(9:30/km以内) |
サブ6.5 | 9:15/km | 0:46 | 1:32 | 3:15 | 4:36 | 5:58 | 6:29 | ⚠関門ギリギリ注意 |
サブ7 | 9:58/km | 0:49 | 1:39 | 3:30 | 4:58(関門) | 5:59(関門) | 6:59(制限) | ⚠制限時間ギリギリ・打ち切りリスク高 |
🚨 【完走ガイド】
・7時間制限=1kmあたり9分58秒ペース。
・ただし、関門通過を考慮すると9分30秒/km以内が現実的完走ライン。
・40kmを14:59までに通過できれば完走圏内。
・信号・補給・トイレを考慮して3〜5分の余裕を確保しましょう。
講師:ももち体育館 健康運動指導士 中村優介
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